「新しい動物病院ができて、来院数が伸び悩んでいる」「ホームページはあるが問い合わせにつながらない」。動物病院の集客に悩む院長は少なくありません。農林水産省の統計では、小動物を診療する施設は2016年から2025年の約9年間で11,675施設から13,046施設に増えており、開業医同士の競合はゆるやかに強まっています。この記事では、動物病院の集客で押さえるべきMEO・ホームページ・口コミ対応の基本と、2024年4月に施行された獣医療広告規制で注意すべき表現を整理します。
1. 動物病院の集客が難しくなっている背景
施設数は約9年で1割以上増加
農林水産省が公表している「飼育動物診療施設の開設届出状況」によると、全国の飼育動物診療施設は2025年12月31日時点で17,200施設、そのうち小動物・その他を扱う施設は13,046施設です。2016年12月31日時点の同施設数は11,675施設だったため、約9年間で1割強増えたことになります。
院数そのものが増えている以上、待っているだけで新規の飼い主に見つけてもらうのは以前より難しくなっていると考えられます。開業から時間が経った動物病院ほど、ホームページやGoogleビジネスプロフィールの情報が更新されないまま埋もれてしまうケースもあります。
飼い主の探し方はオンラインが中心になっている
飼い主が動物病院を探す際の行動も変化しています。英国・オーストラリアのペットオーナー2,000人を対象にした2026年3月公開のVetstoria社の調査によると、81%がホームページの質を重視すると回答し、35歳未満のペットオーナーに限ると88%が口コミを「常に」または「よく」確認すると答えています。海外の調査のため日本の実数とは異なりますが、ホームページと口コミの両方が来院検討に影響しうる情報源になっている傾向は参考になります。
2. 動物病院の集客で欠かせないMEO対策
Googleビジネスプロフィールの基本情報を整える
MEO(Map Engine Optimization)とは、Googleマップやローカル検索でお店・施設の情報を上位に表示させるための対策です。動物病院の集客では、診療科目・診療時間・休診日・駐車場の有無・電話番号といった基本情報を、実態と一致させて登録しておくことが土台になります。詳しい設定手順はMEO対策の基本ガイドで解説していますので、未着手の項目があれば合わせて確認してください。
口コミの数と返信が集患に与える影響
Googleビジネスプロフィールのクチコミには、動物病院自身が返信できます。ただし公式ヘルプによると、クチコミに返信するにはビジネスのオーナー確認を行う必要があり、返信内容はGoogleのコンテンツポリシーに準拠しているかの審査を通ります。米国の消費者1,002人を対象にした2026年2月公開のBrightLocal社の調査では、97%がローカルビジネスの口コミを読み、80%が「すべての口コミに返信しているビジネス」を利用したいと回答しています。こちらも米国調査のため日本の実数とは異なりますが、返信の有無が印象に影響しうる傾向として押さえておく価値があります。
低評価の口コミがついた場合でも、個人的な不満や感想であるだけでは削除を依頼できる要件にはなりません。Google公式ヘルプは、クチコミがコンテンツポリシーに違反していると考えられる場合に「違反を報告」する手続きを案内しています。
3. ホームページ・SNSでの情報発信のポイント
飼い主が知りたい情報を具体的に載せる
ホームページやSNSでは、診療内容・診療時間・アクセス・予約方法に加えて、初診時に必要な持ち物や、緊急時の対応可否といった飼い主が実際に迷いやすい情報を具体的に載せることが、問い合わせのハードルを下げることにつながります。院内やスタッフの写真、日々の様子を伝える投稿も、来院前の不安をやわらげる材料になります。
クリニック系記事に共通する集患の基本フレーム
診療科目は異なりますが、地域密着型の医療機関がオンラインで選ばれるための基本的な考え方は共通しています。人の医療機関における集患施策の全体像はクリニックの集患施策に関する記事で整理していますので、ホームページ・MEO・口コミをどう組み合わせるかの参考にしてください。
4. 2024年4月施行の獣医療広告規制で知っておきたいこと
禁止される広告表現
動物病院の広告は、医療機関に対する医療広告ガイドラインではなく、獣医療法および農林水産省の獣医療広告ガイドラインの対象です。獣医療法第17条は、専門科名や学位・称号を除き、獣医師・診療施設の技能・療法・経歴に関する広告を制限しており、違反した場合は同法第20条第2号により50万円以下の罰金の対象となり得ます。
農林水産省の資料では、禁止される広告として「虚偽の内容」「公序良俗に反する内容」「飼育者の主観に基づく診療の内容や効果に関する体験談」「診療の内容や効果について飼育者を誤認させるおそれがある診療の前後の写真等」を挙げています。加えて、費用を過度に強調する表現や、景品表示法・医薬品医療機器等法・不正競争防止法に抵触する表現も不適切な広告として扱われます。ホームページやSNSに手術前後の写真、患者の声を掲載したくなる場面ですが、これらは規制の対象になり得るため注意が必要です。
2024年4月の改正で広告可能になった事項
2024年4月1日に施行された獣医療法施行規則の改正では、獣医師の役職・略歴や、農林水産大臣が指定する団体の認定による専門性を広告できるようになりました。診療内容についても、①問い合わせ先を記載する、②通常必要とされる診療内容や費用等の情報を提供する、③診療に係る主なリスク・副作用等の情報を提供する、という3つの条件を満たせば、診療行為全般を広告できるようになっています。マイクロチップ装着や狂犬病予防注射を案内する際は、登録が必要な旨を併記することも求められます。
ホームページ・SNSが広告規制の対象になる条件
診療施設のホームページは、原則として広告制限の対象にはなりません。ただし農林水産省のガイドラインでは、「誘引性」「特定性」「認知性」という3つの要件をすべて満たす場合には、ウェブサイトの情報も広告制限の対象になるという考え方が示されています。SNSでの発信も同様の考え方が適用されるため、キャンペーン色の強い投稿や、他院との比較を含む投稿は避け、通常の情報発信に留めることが安全です。
5. 口コミへの返信・活用の実践ポイント
返信は事実に基づいて、誇張のない言葉で
口コミへの返信でも、獣医療広告ガイドラインの考え方は無関係ではありません。診療の効果や結果を断定するような返信、他院と比較するような返信は避け、来院への感謝や、気になる点があれば直接相談してほしい旨を伝える程度にとどめるのが無難です。
不適切な口コミは「削除依頼」ではなく「報告」で対応する
事実と異なる内容や誹謗中傷が含まれる口コミについては、Google公式ヘルプの手続きに沿ってポリシー違反の報告を行います。低評価であること自体は削除の理由にならないため、まずは内容がポリシーに抵触しているかどうかを確認したうえで対応することが大切です。
まとめ
動物病院の集客は、施設数が増え続けるなかで、MEO・ホームページ・口コミという飼い主の目に触れる情報を地道に整えていくことが土台になります。あわせて、2024年4月に施行された獣医療広告規制のもとでは、体験談やビフォーアフター写真、比較・誇大広告は避け、広告可能になった専門性や診療内容の情報を条件に沿って発信することが欠かせません。
動物病院を含む店舗ビジネスの集患・集客でお悩みの方は、こちらからお気軽にご相談ください。



